top of page

健康を科学で紐解く シリーズ2 「お酒は、ほどほどに」

更新日:2023年6月25日

未在 -Clinics that live in science.- では「生きるを科学する診療所」として、「健康でいること」をテーマに診療活動を行っています。

根本治療にあたっては、病理であったり、真の原因部位(体性機能障害[SD])の特定(検査)が重要なキー(鍵)であると考えています。

このような観点から、健康を阻害するメカニズムを日々勉強しています。


人の「健康」の仕組みは、巧で、非常に複雑で、科学が発達した現代医学においても未知な世界にあります。


以下に、最新の科学知見をご紹介します。




「お酒は、ほどほどに」を証明。

大量飲酒(日本酒3合以上/日)は蛋白尿リスクを高め、

適度な飲酒(日本酒1合/日)は腎臓病リスクが低い。

-11の研究、1463万人のメタ解析が明らかにした飲酒と腎臓病の関係-



研究の背景


 少量~中等量の飲酒による腎臓病のリスクの低下はこれまで多数報告されています。

一方、大量飲酒が腎臓病に及ぼす影響を評価した研究報告は少数であり、一定の見解が得られていませんでした。



研究の内容


 アルコール摂取量と腎臓病のリスクを評価した疫学研究報告の網羅的な文献検索(システマティックレビュー)を行い、抽出された11研究(総対象人数14,634,940人)の研究結果をメタ解析の手法を用いて統合しました。


ree


 蛋白尿(尿蛋白≧1+)のリスクは、非飲酒者と比較して、アルコール摂取量≦12g/日では0.87倍に低下しますが、36~60g/日では1.09倍に上昇し、>60g/日ではさらに1.15倍に上昇しました(図1)。






ree


 腎機能低下(糸球体濾過量≦60 mL/分/1.73 m2)のリスクは、アルコール摂取量12~36g/日で0.82倍に低下し、それ以上の摂取量においてほぼ横ばいでした(図2)。








アルコール摂取量>60g/日の腎機能低下のリスクを評価した疫学研究はわずかであり、今後さらなる研究成果の蓄積が必要です。



研究の成果(まとめ)


 アルコール摂取量と腎臓病のリスクを評価した疫学研究報告の網羅的な文献検索を行い、抽出された11研究(総対象人数14,634,940人)の研究結果をメタ解析の手法を用いて統合しました。その結果、蛋白尿(尿蛋白≧1+)のリスクは、アルコールの少量摂取では低下した一方、大量摂取では蛋白尿リスクの上昇が認められました(図1)。

腎機能低下(糸球体濾過量≦60 mL/分/1.73 m2)のリスクはアルコール摂取量30g/日程度まで低下し、それ以上の摂取量ではほぼ横ばいでした(図2)。

 

 本研究はこれまでに報告された疫学研究の結果を統合することによって、60g/日程度(日本酒約3合)以上のアルコール摂取は蛋白尿リスクであることが明らかにしました。

一般に推奨されている20g/日程度の適度な飲酒は腎臓病の予防にも有効であることが期待されます。



本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)


 本研究は、これまでに発表された疫学研究の結果を統合することによって、大量飲酒が蛋白尿のリスクであることを明らかすると同時に、アルコール摂取量20g/日(日本酒約1合)程度の適度な飲酒では腎臓病のリスクが低下することを示しました。

 適度な睡眠や禁煙と同様に、適度な飲酒を心がけることによって、心血管系疾患や死亡の重要なリスクである腎臓病の予防に繋がることが期待できます。



研究グループ


大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センターの山本陵平教授ら。


コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page