「花粉症」~先人に学ぶ:シリーズ 1~
- 未在代表 松舘 敏
- 2023年6月3日
- 読了時間: 3分
オステオパシー(医学)の「病因」の基礎的考え方に「構造(解剖)は機能(生理)を支配する」といった哲学がある。
オステオパシー治療は、この構造の病変(オステオパシー病変)を施術で健全化することにより、機能(生理)を正常化し、病の治癒や症状の寛解を促していく。
その為、人体構造(解剖学)そして身体機能(生理学)の詳細な知識が求められる。そして更に、その構造体を触診できる技術とともに、構造体の「正常な位置」「正常な硬さ」「正常な動き」を診る治療者の「感性」が求められる。
そして感性に加え、「病」が発症するにあたっての「構造体の偏移・変化のプロセス」の知識を背景に置き、身体の構造を診ていくことが必要となる。
以下に、先人の先生方から学び得た「知識」を記録に残します。
「花粉症」について
花粉症は、西洋医学的に言えばアレルギー疾患の一つであり、今年は特に多いようである。その中でもよく耳にするのが「スギ花粉」だ。当然原因としてスギ花粉が取り上げられても誰もが納得し、異論を言う者はいないだろう。
「しかしながら本当だろうか?」
例えば私が杉山の中に入っていったとしても、眼は痒くならないしクシャミも出ない。ということは「花粉症」の有る方と無い方の身体の構造に違いがあるかも知れないという考え方が出来ないだろうか?
…「花粉症」は有能な治療家にとって十分な守備範囲にある。
「花粉症」という症状をを持つ方の行きついた先における身体の構造がどうなっているかというと、脾臓と膵臓の位置関係が全員同じ位置になっており、正常な位置関係ではないのである。解剖の事をよく理解しておられる方ならば、この事を書くと当然ながら腹膜も捻じれていることも連想してもらえると思う。

「花粉症」の方は脾臓が正常な位置より下内方にやや落ち込んでいる。そして膵臓は脾門に食い込むような形で近接したようになっている。これによる結果として脾門を出入りする脾動静脈の血流が悪くなり、脾臓の機能が十分発揮できないだけでなく、胃-脾間膜~肝-胃間膜に影響を出し肝臓の働きの1つである解毒作用を低下させているのだ。
花粉症による他覚的所見の一つとして、もし右の鼻詰まりがある場合、同側の側脳室についてはCTなどで確認できるレベルかも知れないが、脾臓や膵臓の位置の異常は私が思うにはCTやMRIなどをもってしても、おそらくは確認は出来ないだろう。
それには二つの理由がある。
一つは診る者がオステオパシーを習得した上でその目をもって正常な位置というものを知っておかないといけない。単に9~11肋骨の間にあるという診方では、見えていても異常はわからないだろうと思えるからである。
もう一つは、おそらくこの位置異常は数ミリ~多くて1センチ以内だと思っている。これをいくらCTやMRIといえども画像で位置の異常を判断するのは不可能だと思える。つまり有能なオステオパスの感性の方がこういったことに関しては機械より上であると考えているからである。
治療は脾門から膵尾を引き離すようにマニピュレーションを行うと、膵尾が正常な位置に上昇しようとしてくる。そして膵臓を正常な位置に戻し、脾門と膵尾の関係を正常な位置に戻した瞬間に、目の痒みも鼻詰まりもクシャミも消失していることに患者さんは気付くだろう。
以上、「花粉症」に対するオステオパシー治療について話してきた。言うのは簡単だが結果を出すのは少々難しく努力も必要である…。
JOPA会報誌 「JOPATOMIA 会長コラム」 を掲載させていただく。
2023年06月03日(土)
未在代表 松舘 敏






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