Osteopathy.
オステオパシー

A.T.Still.
オステオパシー(Osteopathy)とは
歴 史
オステオパシーは、アンドリュー・テイラー・スティル博士によって、1874年にアメリカのミズーリ州カークスビルで発表された徒手療法医学です.オステオパシー(Osteopathy)の言葉の意味は、ギリシャ語のオステオス(骨)とパソス(病気/治療)という2つの言葉から作られた造語で、スティル博士の「健康か、病気かは、身体の構造と関連する」という考え方を表しています.また近年の研究では、骨自体(骨生体内)にもオステオパシー病変が存在することが発見され、治療テクニックが開発されています.骨は血液の製造の場でもあり、それ故にスティル博士は「骨」を重視されていたのかも知れません.
スティル博士は南北戦争に従事した内・外科医でしたが、自身の3人の娘を流行性脳脊髄膜炎で次々と亡くすという体験から、この時代に用いた砒素・水銀などの薬剤治療の効果に疑問をもちました. その後10年間の研究から「人間の身体には自然な回復力が備わっているが、血液循環や神経支配機能が妨げられると、それがうまく働かなくなって不調となる.そのような循環を妨げる主な原因は、身体の各部をつなぐ関節の動きの低下といった構造上の問題にある」という基本的な考えをまとめました.
当初、医学界から受け入れられませんでしたが、その効果はとても高く、体の痛みや痺れだけでなく、呼吸器系、循環器系、消化器系など、ほとんどの症状が改善し多くの一般市民から指示され、1892年オステオパシーの最初の学校をミズーリ州カークスビルに設立、1910年には医学として公認され、スティル先生が89歳でなくなる頃にはアメリカ全州で公認されました.1899年にはDr.ウィリアム・ガナー・サザーランドD.O.(アメリカでは投薬、手術全ての医療行為ができる完全な医師として「ドクター・オブ・オステオパシー(D.O)」と言います.その他の国は手技のみの資格となっています.)により頭蓋縫合での関節のメカニズムの研究がなされ、頭蓋オステオパシー療法が開拓.その後、世界の多くのオステオパスによって、関節のみならず筋肉、筋膜、内臓などに対する様々な治療テクニックが開発され、高い評価を得ています.
オステオパシーとは
自然治癒力を充分に活かして、身体が本来持っている機能性を取り戻し、健康に導く医学です.
現 状
日本ではまだ聞き慣れない言葉ですが、発祥の地アメリカをはじめ、イギリス、 カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどで国家資格として認められており、フランスなどは国家資格にはなっていませんが、数百人規模の政府公認の学校がある、医学体系です.日本では、法制度が整っていなく民間療法の位置づけにあります.オステオパシーはアメリカだけでも年間5千万人もの人々がその恩恵を受けている立派な医学ですが、日本では情報不足であまり知られていない状況です.
哲 学
スティル博士は、身体の異常な構造は体循環に悪影響を及ぼすと考えました.特に、背骨に問題があると、正常な神経伝達や内分泌、体液(血液、リンパ液、脳脊髄液)の循環が阻害されます.これは筋や骨だけでなく、体内循環や免疫力の低下、内臓機能の低下などの形で、身体の全器官に深刻な影響を与えます.しかしオステオパシーの治療は、単に背骨だけではなく、身体のあらゆる部分を対象として行います.
スティル博士は、人間は身体(Body)・精神(Mind)・魂(Spirit)の三位一体の存在であると考えました.よってオステオパシーは、人間全体を一つの単位(ユニット)としてみます.
治 療
医学的知識に基づき、身体の歪みや緊張を取り除くことで、正常な機能を取り戻します.人間の持つ自然治癒力を引き出し、健康維持、不調やケガからの回復・予防に効果を発揮します. 西洋医学や東洋医学とは、少し考え方が違うので、また違ったアプローチがされます.
「症状のある局所」だけでなく ...
「身体全体を視野に入れて」 原因を探っていく.というのが特徴です.
オステオパシーでは、身体はすべてがつながり合っており、どこか一部が不調になれば必ず他の部分にも影響が出ると考えます.ですから、症状の出ている部位だけでなく、全身の状態を見て施術を行っていきます.
1)全ての筋肉、骨格の調整.2)筋膜の調整.3)内臓臓器および内臓の支持組織(靭帯、間膜等)の調整.4)頭蓋骨の調整と脳脊髄液の循環の改善.5)リンパマッサージによるリンパの流れの調整.6)筋肉や関節に多数存在する固有受容器に対するアプローチ.
これらを手技療法によって矯正し、正常に戻すことで、体内に本来備わっている防衛力を回復させ、自然治癒力が存分に働く体内環境を活性化していきます.
「頭蓋骨の調整」と言われてもピンとこない方も多いと思いますが、頭蓋骨は小さな骨が縫合というものでパズルのように組み合わされており、頭蓋骨が歪むと、身体に様々な不調が出てくる場合があります.
一生涯を通じて、小児専門の頭蓋オステオパシー治療を行ったアメリカの故ビオラ・フライマンD.Oのところには、世界中から難病の子供たちが集まり、大きな成果をあげていました.
人間の身体には、いくつものリズムを持った動きがあります.
1)呼吸による肺、肋骨の動き.
2)心臓の拍動.
3)脳脊髄液を循環させるための動き.
4)内臓が持つ固有の動き.
5)その他(筋肉等)の動き.
すべての動きが密接に関連して、
身体の恒常性(ホメオスタシス)を保とうとしています.
ホメオスタシスこそが自然治癒力を発動させるもとでもあるのです.
オステオパシーは …
身体の歪みと細胞・組織の硬さを解放し、身体の持つリズムと可動性、体内バランスを正常化します.
そして、身体の調和(ハーモニー)の回復を図ります.
私の治療は、あなたの「身体からのメッセージ」を、「聴く」ことから始めます.
- 施術者 松舘 敏 -

A.T.Still.
「対峙」
しているもの...
オステオパス(オステオパシー施術者)が「対峙」しているもの...
歴史的伝道における「誤解」
「日本のオステオパシーは、1910年前後に導入されました。山田式整体術として日本に普及したのが、その始まりでした。しかし、“整体術”と云う名前を使った為に、その後の日本の経験的手技療法とミックスされて様々な名称が付けられ、“オステオパシー”の名前が忘れられ、伝わらなくなってしまいました。
近年になり欧米との交流が盛んになり、新しい情報が入るようになりました。しかし、その間アメリカではすでにドクターの称号を獲得しています。アメリカでは現在、オステオパシー医科大学として大成するまでになっています。」
~オステオパシー誇張法 教本 まえがき より~
上文などの歴史的背景のもと、「オステオパシーって何?」「マッサージのような整体でしょ」と認識される方が多いのが現状ですが、“オステオパシーは正規の医学”であり、“治療”です。
どのような症状に効果があるの?
上記のような背景もあり、オステオパシー施術を受けに来られる方の多くは、肩こり、腰痛など筋骨格系の問題を抱えている方が多いようです。しかし、オステオパシー創始者のA.T.スティルD.O. ほか初期のオステオパス達は「感染症」「内臓疾患」「全身性疾患」など、ほぼあらゆる症状に対処し効果をあげていたという記録が残っています。
残念ながら現代では、上記に挙げたような疾患に対応できるオステオパスは、ほとんどいないと言っても過言ではない状況ですが、オステオパシーの考え方から言えば、基本的には「骨折」「外傷」以外は、ほぼどんな症状にも対応できると言ってもよいかもしれません。
実際にA.T.スティル D.O.が書いた数冊の本の中にも、現在手技療法で治療できるとは考えられていない、多くの疾患の治療法が載っています。オステオパシーは現在一般的に考えられているよりも、はるかに多くのことができると考えられています。
オステオパシー治療の可能性 ― A.T.スティル D.O. 著書からの「疾患名」
A.T.スティル D.O.の著書の中の一冊、1910年出版の「Osteopaty Research & Practice」に原因と治療法が載っている疾患のリストを紹介します。
部 位/疾患名
頭 部/脱毛,顔の湿疹,流涙,翼状片,まぶたのできもの,乱視,斜視,白内障.
部 位 /疾患名
喉、頸部/急性扁桃腺炎,・慢性扁桃腺炎,甲状腺腫,グレーブス病(バセドウ病),甲状腺炎,粘液水腫.
部 位/疾患名
胸 部/肺炎,肺結核,喘息,心疾患,しゃっくり.
部 位/疾患名
腹 部/消化不良,肝臓疾患, 胆石,便秘,下痢,赤痢,虫垂炎,回虫, 腎臓疾患,癌・腫瘍,ヘルニア.
部 位 /疾患名
横隔膜上部/てんかん,精神異常,精神薄弱,パーキンソン病,斜頸,肥満,ホジキン病,多汗症,どもり.
部 位 /疾患名
横隔膜下部/ヒステリー,更年期障害,痛風,痔.
部 位 /疾患名
脊柱(1)/脳脊髄ヘルニア,歩行性運動失調,神経衰弱,神経痛,頭痛,肩こり,チック、顔面神経痛,腰痛,坐骨神経痛,脊椎可動性亢進.
部 位 /疾患名